おひさしぶりです。りえです。 患者様には急な休診で大変ご迷惑をおかけいたしました。 順調に経過しておりますので、 週明けの6月4日から徐々に再開予定です。 晴天の霹靂とはまさにこのことですね! 妊娠中に妊娠に関係ない病気で手術することも決して珍しくはないようですが、 まだ私の周りでは聞いたことがないので、ちょっと体験談を書いてみようかと思います。 症状が出始めたのは先週の水曜日の夕方。 胃の辺りがシクシクと痛み出し、 あれ?変なもの食べたかな? ちょっと吐いたけど、つわりのせいかな~ ほんとつわりがすっきりしなくて、困ったもんだ なんてのんきに構えていたのですが、夜にかけて、痛みがだんだん下に下りてきて 吐き気もいつもより激しくなって、夜中には 最後に食べたものからその前に食べたものまでガバガバと吐き始めたものですから、 ??? あれ?なんか違うぞ・・・ そこで頭に浮かんだ病名を痛みでうずくまりながらiPadで調べると、 やっぱりこれだよね・・・ 心窩部から始まる痛みが右下に下りてきて、そこに圧痛と反跳痛(ぐーっと押してパッと離したときにウッと痛くなること) 妊娠中なので、若干典型的なマックバーニー点という部位とは違いますが、それを考慮に入れても実に教科書的な症状。 いわゆる 急性虫垂炎 妊娠20週での虫垂炎か・・・ 明日も仕事なのに・・・と思いつつ、少なくともじゅんじ先生にはしっかり働いてもらわねば、と起こさずに朝まで我慢。 ようやく外も明るくなり、外来始まる前の八尾先生に診てもらおうと、電話をかけると 「救急車で大きな病院へ行ってください」 とのご指示が。 きゅ、救急車! さすがに、医療者たるもの、よほどのこと(意識がなくなるとか)がない限り恥ずかしくって救急車は最後の手段、と思っておりましたが、 妊娠中の虫垂炎ってそんなに危険!? とはじめて危機感を覚えました。 そこからは、あわただしく準備して、 父に来てもらい付き添ってもらうことにし、弟が研修医をしている横浜市立大学の付属病院へ運んでもらうことに。 立ち上がって歩くと、つらい・・・ 朝は道が空いているので乗ってしまえばスイスイで、ほどなく到着。 救急外来に自分が運び込まれることになろうとは・・・ 妊娠中の虫垂炎での一番の問題点は、通常の経過と違って診断が難しいこと。 手遅れになってからわかるということも。 でも、今回はわりとわかりやすく発症したので診断はたやすく、 はじめは点滴入院で散らしましょう、との話もあったのですが、 血液検査で炎症の値がかなり高く、妊娠中の虫垂炎は重症化しやすいとのことで消化器外科の先生方で話し合った結果、 手術決定 そうこうしているうちに痛みやら、気分の悪さもどんどん悪くなってきていくので、 あ~もう切ってください~という気持ちに。 エコーでも、炎症を起こした虫垂らしきものも見えていたのですが、 やはり妊娠中ということもあり、 CTを撮りますか、どうしますか、でひとつ決定しなければいけない事項が。 父は医療者ではありませんから、えらく心配そう。 担当の先生が気を使って 妊娠時の被爆に関するデータが記載された資料を持ってきてくださいました。 ここまで、できるかぎり薬物投与することなく、できるだけいいもの食べていい調子で妊娠生活を送ってきたのに、ちょっぴり悔しい気もしますが、 妊娠20週なので、腹部CT2回くらいまではまず催奇形性もないということと、 開腹してから虫垂の場所をあれこれ探して胎児に負担になるより、できるだけ画像で場所を特定しておいたほうがリスクが少なかろう、 という判断でCT撮影OKに。 まあご立派に膨れ上がった虫垂が写っておりました。 (通常の虫垂はほぼうつらない) 場所もかなりうえに押し上げられて、お臍の近く。 弟はCTで写した胎児の画像初めて見た、と言っていました。 さあ手術、となったものの、折りしも麻酔科の学会の会期中。 お留守番の先生しかいないので、時間がちょっとわかりませんとのこと。 でも、むしろ予定の手術が入っていない期間なので、外科の先生方はいつもよりゆとりがあったようで私のためにさっさか動いてくださっている様子。 手術の説明で一番の懸念はやはり胎児にどんな影響があるか。 先生方は資料をとりあえず探してくださったようで一施設の報告ですが 何もせずに放置して腹膜炎になった場合 36%が胎児をあきらめなくてはいけなくなった 妊娠20週で手術をした場合は14%にそれが下がるとの説明を受けました。 14%って結構な確率です。 先ほどこれを書くに当たり、ちょっと論文検索してみましたが、 ここ5年ほどは成績が上がっているのか、日本ではさすがに14%までの報告はありませんでした。 とはいえ、流産の可能性は0ではありませんから、それなりに覚悟は決めました。 夫は手術になったと電話で聞いて、おなかの子はあきらめないといけないと思ったそうです。 手術の説明を受け終わったところに、患者さんのキャンセルをどうするか指示を仰ぎにうちのスタッフが到着。 緊張したおももちのスタッフをねぎらう余裕もなく、ああしてこうしてと指示を出していると、 あと20分で入室です。との連絡が。 早い~ 着替えて、胸のレントゲン撮って、と大忙し。でも、早くは動けない。 5分ほど遅れてOPE室に入りましたが、 麻酔科の先生方がいないせいか、OPE室も落ち着いた様子でした。 つづく・・・