インプラントは何年持つのか?
新しいインプラントは、実際に十年以上持つものと思われますが、まだ実際に口の中で機能して期間が短いので、実際のデータはこれからだと思います。
5年経ってもほとんど変わりません。おそらく10年以上経っても、それほど変化しないと考えられます。その成功の秘訣は、インプラントボディの選択、充分に練られた治療計画(歯周病治療も含めて)と確かな技術、その後の定期メンテナンスです。
それでは、その秘訣を詳しく紐解いていきましょう。<
- 1.埋め込むインプラント・ボディの選択
- 2.充分に練られた治療計画
- 3.周囲の組織との調和
- 4.計画を可能にする確かな技術
- 5.インプラント周囲炎の抗菌療法
- 6.インプラント独自の咬み合わせの調整
- 7.担当衛生士による定期的な専門クリーニング
前歯で5年間経過した症例
1.埋め込むンプラント・ボディの選択
最近では、同じインプラント治療といっても様々なインプラントが使用されます。スイス製、スウェーデン製、韓国製や中国製のものもあります。どのインプラントボディを埋入するかというのは、とても大事なことです。
医療界の中で、信頼できるインプラントのトップメーカーは世界で3社あります。アストラテック、ストローマン(ITI)、ブローネマルクのトップ3社は一長一短あり、どれも優れたインプラントです。
しかし、その中でも5年間の調査でインプラント周囲の骨が最も維持されたのは、当院のアストラテックインプラントでした。
下のグラフは、インプラント周囲の骨の吸収の大きさを表しています。
青い線が、アストラテックインプラントです。
図は、インプラント周囲の骨の変化を個別に示してあります。
青い点がアストラテックインプラントです。
また、インプラントが駄目になってしまう原因のほとんどは、インプラント周囲炎という炎症によるものです。
下の図は、意図的に菌を感染させインプラント周囲炎を起こした実験です。当院のアストラテックインプラントは、一番吸収を抑えることが出来ました。
まとめますと、
①長期に渡って骨レベルを最も高く維持できる
②インプラント周囲炎に最も強い
以上の2つの理由で、当院はアストラテックインプラントを主に使用しています。
参考文献
Marginal bone level changes at dental implants after 5 years in function: a meta-analysis.Laurell L, Lundgren D.Clin Implant Dent Relat Res. 2011 Mar;13(1):19-28
Spontaneous progression of ligatured induced peri-implantitis at implants with different surface characteristics. An experimental study in dogs II: histological observations.Albouy JP, Abrahamsson I, Persson LG, Berglundh T.Clin Oral Implants Res. 2009 Apr;20(4):366-71.>
2.充分に練られた治療計画
インプラント治療を開始する前に、必ず治療計画やリスクのご説明と手術同意のお時間をお取りしています。
手術計画の参考にさせて頂くために、一般的な流れとして、下記の検査や診断を事前に行います。(症例に応じて検査項目は違うことがあります。)
- 採血をさせて頂いて、全身状態をチェック
- 歯周病のチェック
- 顎関節の検査
- 咬合力の測定
- 唾液分泌量の検査
- 姿勢や咬合のバランス検査
- 模型を計測し、インプラント埋入位置や大きさを決定
- 咬み合わせる歯の状態や素材を検査
- 完成をイメージした模型を作成
- レントゲンを参考に角度や長さを決定
- 骨移植が必要かどうかの診断
- 骨を採取する場所の決定
- 骨密度の測定
- ステントと呼ばれる手術用ドリルのガイドを作成
- 手術の際のリスク判断
- 使用する麻酔の選択
- イメージトレーニング
十分なご理解が得られた上で、治療は進めさせて頂きます。
3.周囲の組織との調和
インプラントは生体適合性が高いとはいえ、人体にとっては異物なので周囲の組織に馴染ませる形態にしなければなりません。
それは、隣の歯の状態や歯肉や骨の状態によって異なりますので、一概には言えませんが、
また、周囲の骨の厚みと量、隣の歯との距離、歯肉の厚みなどを診断し、骨や歯肉の移植が必要かどうかなどの判断します。
インプラントが、長期に維持するためには周囲との調和がとても重要です。細心の注意を払い、手術計画を立てることが必要です。
4.計画を可能にする確かな技術
治療計画など事前の準備が充分になされたとしても、それを可能にする技術が必要です。また、その逆として確立した技術がなければ、治療計画も陳腐なものになってしまいます。 Dr.Junjiは、常に最善を尽くします。
5.インプラント周囲炎の抗菌療法
インプラントが駄目になってしまう原因のほとんどは、インプラント周囲炎です。インプラント周囲炎とは、インプラントの周りの歯肉が腫れて、膿が出たり、歯磨きの時に血が出たりします。何かと似ていませんか?そうです。歯周病と症状が似ていますよね。実際に、インプラント周囲炎から採取される菌は、歯周病菌とほぼ同じなのです。
つまり、歯周病の抗菌療法と同じ治療法が有効だということです。当院では、Dr.Junjiがスウェーデン・イエテボリ大学歯周病科での研修を発展させ開発した除菌療法により、歯周病に対して大きな成果を挙げている実績があります。それを応用して、インプラント周囲炎の治療に取り組んでいます。
6.インプラント独自の咬み合わせの調整
インプラントは自分の歯のように咬めますが、自分の歯と少し違う点があります。天然歯には、歯根膜といって歯と骨の間に一層の膜があります。そのため、ほんの少し天然歯は動きます。しかし、インプラントは骨にしっかりと固定されているため、全く動きません。その差が、咬み合わせを難しくしています。
天然歯とインプラント歯の違いを、口の中だけでなく姿勢など全体を診ながらミクロンの単位で調整することで、絶妙な力のバランスを作り出すのです。
そうすることで、インプラントは天然歯に限りなく近づくのです。
そんなこんなで、咬み合わせの調整には時間が掛かります。判りにくいときは、実際に使用してみてから調整をすることも多くあります。
咬み合わせの調整が悪いと、肩こりや頭痛などの原因になります。
さらには、脊椎がずれ、腰痛をおこしたり、また神経を圧迫し慢性疾患に陥ることも。
骨格が年を取ると変化するように、咬み合わせも変化していきます。定期検診でその変化をしっかりと捉え、時に調整を加えながら調和を維持することも、長持ちの秘訣です。
7.担当衛生士による定期的な専門クリーニング
「少しでも長く持たせるために、定期的なクリーニングには必ずお越し下さい。末永いお付き合いになりますが、楽しくやっていきましょう。」(インプラント担当歯科衛生士より)
確認ですが、インプラントは天然歯とは違います(詳しくは「インプラントに合わせた咬み合わせの調整」を参照)。そのために、クリーニングもインプラント周囲の組織に合わせた特別なやり方が必要なんですね。
インプラントが駄目になってしまう原因のほとんどはインプラント周囲炎という炎症です。これは細菌の感染によって起こるので、この感染を防ぐのが専門クリーニングの目的と言えます。
治療直後のインプラント歯の表面は、顕微鏡で見ても傷が無くツルツルしています。しかし、時間が経つと傷が増え、そこにバイ菌が溜りやすくなります。
インプラントを傷つけないためには、金属製の器具でインプラントを触らないことです。専用のプラスチック製器具やブラシで掃除をします。プロフェッショナル・クリーニングでは、普段手が届かないところを特に奥までしっかりと綺麗にします。そうやって、物理的にバイ菌を除去してやることが長持ちメンテナンスの最初のステップです。
好きな音楽を聴きながら、ご機嫌にクリーニングを受けて下さい。
次に、「定期的」というところがポイントです。骨格が年と共に変わっていくように、咬み合わせも変化します。その変化によって調整が必要かどうかを診断することは、セラミックが割れるのを防ぐことにも繋がります。
「Less is More.」メンテナンスに定期的に通うことは、時として面倒だと思うかも知れませんが、それは最小の努力で最大の効果を生む方法なのです。
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